☆Le Petit PrinceLe Petit Prince
「心で見なくっちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ。」はあまりにも有名だけれど 星の王子さまには、まだまだ心の響く言葉がいっぱいありますね…… 「ちがう、友だちさがしてるんだよ。<飼いならす>って、それなんのことだい?」 「よく忘れられてることだがね。<仲よくなる>っていうことさ」 「仲よくなる?」 「うん、そうだとも。おれの目から見ると、あんたは、まだ、いまじゃ、ほかの十万もの男の子と、べつに変わりはない男の子なのさ。だから、おれは、あんたがいなくなったっていいんだ。あんたもやっぱり、おれがいなくったっていいんだ。あんたの目から見ると、おれは、十万のキツネとおんなじなんだ。だけど、あんたが、おれを飼いならすと、おれたちは、もう、おたがいに、はなれちゃいられなくなるよ。あんたは、おれにとって、この世でたったひとりのひとになるし、おれは、あんたにとって、かけがえのないものになるんだよ……」と キツネがいいました。 「なんなら……おれと仲よくしておくれよ」 ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ 「でも、どうしたらいいの?」と王子さまがいいました。 キツネが答えました。 「しんぼうが大事だよ。最初は、おれからすこしはなれて、こんなふうに、草の中にすわるんだ。おれは、あんたをちょいちょい横目でみる。あんたは、なんにもいわない。それも、ことばってやつが、勘ちがいのもとだからだよ。一日一日とたってゆくうちにゃ、あんたは、だんだんと近いところへきて、すわれるようになるんだ……」 ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ 「いつも、同じ時刻にやってくるほうがいいんだ。あんたが午後四時にやってくるとすると、おれ、三時には、もう、うれしくなりだすというものだ。そして、時刻がたつにつれて、おれはうれしくなるだろう。四時には、もう、おちおちしていられなくなって、おれは、幸福のありがたさを身にしみて思う。だけど、もし、あんたが、いつでもかまわずやってくるんだと、いつ、あんたを待つ気持ちになっていいのか、てんでわかりっこないからなあ……、きまりがいるんだよ」 by 『星の王子さま』 サン・テクジュペリ作/内藤 濯訳 岩波文庫 |